映画・テレビ

2019年4月20日 (土)

シャザム!

「シャザム!」を見てきた。DCユニバースのスーパーヒーロー映画で、
14才の少年がスーパーパワーを手に入れてしまった、という筋書きで始まるお話。
体は大人で頭脳は子供、という某名探偵の真逆を行くスーパーヒーローである。
ヴィランとして登場するドクター・シヴァナにはマーク・ストロングが抜擢されている。

未熟な人間がスーパーパワーを手に入れるとろくなことにならないのだが、
本作ではそのろくでもなさを明るい方向で処理しており、劇場内では笑いが絶えない。
スーパーパワーを見せつけるセルフィーをやったり、動画を撮って収益化したり、
公演でパフォーマンスをして金を稼いだりするという悪逆非道っぷりは見ていて笑うほかない。
シャザム側のストーリーは楽しく気持ちのいいものばかりだ。

もちろん、スーパーヒーローなので暗いシーンもいくつかある。
だがそれを補ってあまりある明るさが本作にはあり、
晴れ晴れとした気分で劇場を出られるのが何よりもすばらしい。

印象的なのは、孤児である主人公を引き取った家族の話。
「里親」であることがスーパーパワーだと語り、あなたのスーパーパワーは? と問いかけてくる。
毎月のように銀幕でスーパーヒーローが暴れ回る今だからこそ、この言葉は重い。

スーパーパワーとは超人血清でもなければ、ハイテクパワードスーツでもない。
善を成そうとする精神そのものである。それを一言でも語ってくれるスーパーヒーローがどれだけいるだろうか?

シャザム、いい映画である。明るく楽しく、つらくてもめげずに前に進んでいく。
エンド・ゲームを見る前に是非。自分のスーパーヒーロー像を、今一度問い直そう。

2019年4月14日 (日)

ハンター・キラー 潜行せよ

「ハンター・キラー 潜行せよ」を見てきた。
ジェラルド・バトラーにゲイリー・オールドマンという豪華キャストが出演する潜水艦映画。
ロシアのクーデターに際して派遣された一隻の潜水艦と、
偵察に派遣された特殊部隊の運命を描くシリアスな軍事もの。

映画館の客層はほぼおっさん。休日の朝っぱらにもかかわらず、
近年の洋画としてはまれに見る客の入りである。
映画自体も骨太。緊迫感のあるシーンが連続し、手に汗握る展開が続く。
かといって派手なエフェクトによる破壊もなく、全体としては抑えめのトーン。
それでいて見せるところはしっかり見せてくるので好感度が高い。

主演のジェラルド・バトラーは筋肉俳優で有名だが、本作では艦長を演じている。
とはいえ、映画の中でのキャラクター描写はあまり多くない。
どのキャラもテンプレというか、軍人としての役割を全うしており、
そこに余分な要素は入ってこない。それだけにリアリティが際立つ。

ロシアの高官がロシア人と英語で会話したりと残念な点も多々あるのだが、
潜水艦映画としてきっちり仕上がっており、見応えのある一作。
軍事マニアでなくても見に行く価値はあるぞ。

2019年4月 6日 (土)

バイス

「バイス」を見てきた。米国で副大統領を務めたディック・チェイニーの伝記映画。
といっても異色の伝記映画で、そもそも本人に製作の許可を取っていないのだとか。
主演はクリスチャン・ベール。役作りもすごいが、本作のメイクはアカデミー賞を受賞している。
他にもスティーブ・カレルやらエイミー・アダムズなど、実力派が目白押しの映画。果たして。

映画は基本的に、ディック・チェイニーの半生を追っている。
どうしようもないクズだったチェイニーが、恋人の叱咤で立ち直り、
政界へと足を踏み入れるところから物語はスタートする。
彼は持ち前の手腕で着々と政治権力を獲得していき、家庭生活もほぼ順風満帆。
しかしながら、使えていた大統領が選挙で落選したことから職を失う。
また、娘の一人がレズビアンであることが発覚し、彼女のことを優先するため、
政治の道を歩むのをやめて、平穏な生活を送るようにする。
そしてチェイニーは幸せに暮らしました。ハッピーエンド……なわけがないのである。

映画は、序盤中盤と終盤では明確に見せ方が違う。
最初から中程までは、チェイニーが成り上がっていく様を肯定的に描き、
寡黙ながら有能な人物として観客の共感を誘う作りとなっている。

だが終盤、9.11が発生してからは話が別だ。
戦争という大義名分を得て、G・W・ブッシュを抱える政権を運営するチェイニーは、
ブッシュを盾にして己の権勢を振るい続ける。
その豪腕ぶりには見ている人間も驚くだろうし、そもそも演じた人間もびっくりだったかもしれない。

クリスチャン・ベールのカメレオン俳優っぷりもすばらしいが、
脇を固める実力派の演技もそれだけで十分見応えがある。
映画のテンポはすばらしく軽快で、かつ残酷さを隠すことなく見せつけてくる。
本作は権力闘争を題材としているが、その先にあるもの、
その結果として犠牲になるものの容赦なく描き出しており、
短いながらその印象は強烈に観客に焼き付くであろう。

政治的には偏っている映画かもしれないが、見て損はない一本。
世界最強の権力者がどんな手腕を振るったか、是非見届けよう。

2019年3月23日 (土)

ビール・ストリートの恋人たち

「ビール・ストリートの恋人たち」を見てきた。
アカデミー賞受賞作「ムーンライト」を監督したバリー・ジェンキンスの新作。
1970年代、ニューヨークで暮らす二人の黒人男女のお話。
原作が存在し、2018年度のアカデミー賞において、本作の出演者が助演女優賞を受賞している。

話の流れは単純だ。貧しくも幸せに暮らす二人の男女が、些細なことから問題に巻き込まれ、
ファニーと呼ばれる男性が投獄されてしまう。無実の罪で引き裂かれた二人のため、
彼らを取り巻く人々や、彼ら自身が奔走する、愛の物語である。

その単純な愛の物語は、作ろうと思えばいくらでもチープかつエモーショナルに作ることができる。
二人の仲を引き裂く事件も、妊娠と出産も、感動的なBGMと大げさな演技で、全米が泣くほどの感動を演出できる。
が、本作において、そんなチープさはどこにも存在しない。
まるで実際の人物が息づいているかのように、役者が生き生きと演技をし、
控えめながら克明かつ印象的な映像が、的確に挿入されていく。

随所に挿入される回想や独白で、やや入り込みにくい印象も受けるが、
話の展開とともにそれらの違和感は解消されていく。
決してご都合主義的ではない、リアリスティックな物語が展開しつつ、
それでいてしっかりと「愛」についてやりきっている。

この映画を見ると、人と人とのつながりがほしくなってしまう。
希望あふれる映画である。

2019年3月16日 (土)

キャプテン・マーベル

「キャプテン・マーベル」を見てきた。
言わずと知れたMCU作品の一つで、4月公開の「アベンジャーズ:エンドゲーム」の布石となる一作。
主演はアカデミー賞を受賞したブリー・ラーソン。ジュード・ロウやニック・フューリーことサミュエル・L・ジャクソンも登場。
エージェント・コールソンも登場するぞ。

内容としては、手堅いマーベルヒーロー映画の一作目といったところ。
飽きさせない展開と軽妙なテキスト、スタン・リーの登場。
どこを切ってもお手本のようなマーベル映画であり、見ている側としてはとても安心できる。

しかし新鮮味があるかというとノーだ。新しい価値観を提供しようとしているわけでもなく、
アベンジャーズとの連携が前提だから、シリーズのファンでなければ100%楽しむのは難しい。
CGエフェクトバリバリのアクションは見応えがあるように思えるけど、
同じような映画は毎年何作も公開されている。MCUだけで2作3作と出てくるし、DCもある。
もちろんそれ以外にもエフェクトてんこ盛りのエンタメ超大作は事欠かない。
そもそも、シリーズ集大成とも言えるインフィニティ・ウォーを2018年にやったばっかりだ。
話の規模も予算の規模も縮小して、同じことを繰り返している印象を受ける。

また、本作は女性への抑圧と解放を描く一作でもある。言うなれば、政治的に正しい作品だ。
それ自体は全く問題ない。むしろ望ましいぐらいである。しかし、主演のブリー・ラーソンも、
彼女が演じるキャプテン・マーベルも、その気になれば男や社会と対等かそれ以上に戦えるタフなやつだ。
そういう存在がスーパーパワーで暴れ回って、自分は誰にも縛られない、と言い出してもちょっと違うんじゃないか、という気持ちがわく。

抑圧されているものの解放という点では、2018年のブラックパンサーのほうがよくできていた。
あの作品を見れば、誰もが「キルモンガーは自分だ!」と涙を流すだろう。
だがキャプテン・マーベルはどうだ? この作品を見た上で、誰もが「キャプテン・マーベルは自分だ!」と感じられるだろうか?
もちろん、これを書いている自分は男である。なので、キャプテン・マーベルが自分だとは思えなかった。
それは自分の想像力が足りないせいかもしれないし、自分の価値観が政治的に正しくないからかもしれない。
でも、この作品が掲げるものが、どうにもお題目のように思える、という感触だけは、ここに書いておこうと思う。

2019年3月10日 (日)

運び屋

「運び屋」を見てきた。ご存じクリント・イーストウッド監督・主演作品。
脇もローレンス・フィッシュバーンやらブラッドリー・クーパー、マイケル・ペーニャをそろえ、
圧倒的な布陣で挑むのは、とある麻薬の運び屋のお話。
90才で金に行き詰まった退役軍人が、麻薬の運び屋に手を出すところから物語が始まる。

個人的な印象でしかないが、非常に素朴な映画であると感じた。
本作の監督と主演はイーストウッド本人である。家族をないがしろにしてきた主人公が、
物語とともに家族との絆を取り戻していく様は、ある意味、彼の人生を象徴しているかのようだ。

この話の主役であるアール・ストーンという男は、麻薬の運び屋を始めてから、
驚くほど重用されるようになる。組織の手下やボスと仲良くなり、
金回りが良くなり、家族とも少しずつ関係を改善していく。
黒人をニグロと呼び、メキシコ人をタコス野郎と呼ぶ90才の老人は、
めきめきとその頭角を現し、失った人生を取り戻し始めるのである。

見て損はない映画ではあるが、どうも、自分の中にはしこりが残る。
皆、アールのようにうまく生きる事が出来れば、それでいいはずなのだが。

2019年3月 9日 (土)

スパイダーマン:スパイダーバース

「スパイダーマン:スパイダーバース」を見てきた。
2018年度のアカデミー賞長編アニメ賞を受賞した一作。
悪役キングピンの実験により複数の世界から集結したスパイダーマンが悪と戦うアニメ映画である。

のっけから驚かされるのはそのビジュアル。アニメともコミックとも言える強烈な演出が連続する。
これを作るのにどれほどの労力が注がれたのか、想像するだけで恐ろしい。
調べてみると、最初の十分間を作るのに一年間を要したとか。メチャクチャなスケジュールだ。

もちろん、マーベルヒーロー映画なので、お話自体も悪くない。
複数のスパイダーマンはそれぞれがキャラ立ちしていて、見た目一発でガッツリ引き込んでくれる。
それでいて、主人公マイルスにはしっかりしたドラマが用意されており、
映像に圧倒されるだけではなく、ストーリーもじっくり楽しめる。

アカデミー賞の長編アニメ賞の常連である、ディズニーアニメに比べると、
本作はかなりエンターテインメントに寄っている。アクションシーンはとにかく見応えがあり、
一度見ただけではすべてを把握しきることは不可能。
その分、テキストは普通と言えばそうだが、映像が楽しいのであまり気にならない。
主人公が黒人なので政治的にも正しい。これはどうでもいい情報かもしれないが。

あと、これだけは書いておかないといけない。
ペニー・パーカーちゃんがとにかくカワイイし、異常なエネルギーを放っている。
よくこれを全米で流せたな、という力の強さである。是非スクリーンでペニー・パーカーちゃんを見てほしい。

2019年3月 3日 (日)

グリーンブック

「グリーンブック」を見てきた。1962年の米国を舞台にしたロードムービー。
カーネギーホールの2階に居を構える天才ピアニストドン・シャーリーと、
彼の用心棒兼運転手を務めるイタリア人のトニー・リップが織りなすお話。
今年のアカデミー賞作品賞にも輝いた一作である。
主演はヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリ。作品賞受賞にはずいぶんケチがついたようだが、果たして。

本作は米国の人種差別を語る映画ではあるが、内容はコメディタッチだ。
トニー・リップは口が悪くて無教養の白人、ドン・シャーリーは上流階級相手に演奏するインテリ。
この凹凸コンビが行く先々でトラブルに巻き込まれながら、
徐々にその友情を深めていく様は、ある意味ではお約束とも言えるお話である。
二人のキャラクターは史実ベースとは思えないほど誇張されており、
ちぐはぐなやりとりは笑いをこらえようとしても吹き出してしまう。
議論は抜きにして、この二人のキャラクターは間違いなく「生きて」いるだろう。

その生き生きとしたキャラクターを演じている二人、ヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリの演技力は賞賛に値する。
マハーシャラ・アリのピアノはすばらしいと思えるし、ヴィゴ・モーテンセンの肉体はだらしないのにとても頼りがいがある。
二人のやりとりを見るだけで楽しくなってくるのは、現実に差別が存在する中で考えて、いいことなのか悪いことなのか。

話としては当たり前に始まり、当たり前に終わると言っていい。
もっとひねりを加えるべきなのか、それともこれでいいのか、微妙なところである。
はっきりしているのは、これが良くも悪くも「いい話」であるという点だ。
そこに価値を見いだすかどうかで、評価ははっきり割れるだろう。
是非とも、自分の目で確かめてほしい。値段分の価値はある映画だ。

2019年2月23日 (土)

アリータ バトル・エンジェル

「アリータ:バトルエンジェル」を見てきた。
原作は日本のSF漫画銃夢、監督はロバート・ロドリゲス。
そして製作は言わずと知れたジェームズ・キャメロンという超大作SFムービー。
メンツもクリストフ・ヴァルツやジェニファー・コネリーといった演技派をそろえ、
マハーシャラ・アリまで引っ張ってくる気合の入れようである。

日本のコミック原作というと、どうもヤバイイメージがつきまとうが、
本作に限っては、原作の要素を再構成しつつ、一般大衆向けに仕上げられていて、
満足度の高いアクションSF超大作映画となっている。

サイボーグのアクションはまさに圧巻。設定上はロボットなのでバンバン首が飛び、
四肢も平気で断裂する。格闘シーンも完成度が高く、ずっと見ていられる。
特にすばらしいのはモーターボール編。劇中では少ししか出てこないが、
スピード感あふれる戦いは興奮を呼ぶだろう。

シナリオも決して悪くない。原作の要素を取り込みながら、
観客ウケしにくそうなものを削りつつ、多くの人に受け入れられそうな展開となっている。
原作におけるマカク編、ユーゴ編、モーターボール編をうまくミックスしており、
原作ファンも納得できる展開だろう。

総じて、満足度の高いSF大作映画となっている。
誰が見に行っても相応に楽しめ、マニアならば展開の一つ一つににやりとできる。
続編ありきの終わり方をするので、今後の展開も楽しみ。
劇場公開中である今のうちに、是非見に行こう。

2019年2月16日 (土)

女王陛下のお気に入り

「女王陛下のお気に入り」を見てきた。原題はThe Favoriteで、うまい邦題の付け方である。
時は英国1700年初頭、アン女王と彼女に従事したサラ、そしてアビゲイルを取り巻く関係を描く一作。
メインキャラのサラにはレイチェル・ワイズ、そしてアビゲイルにはラ・ラ・ランドのエマ・ストーン。
監督は「ロブスター」「聖なる鹿殺し」のヨルゴス・ランティモス。映画自体もアカデミー賞に複数ノミネートされる。
まさに精鋭揃いと言った今作であるが、その出来は如何に。

とまあ、長々と説明してみたが、本作の本筋は百合昼ドラ、この一言に限る。
お家が没落し、英国女王の下働きとなったアビゲイルは、
持ち前の野心、知力、そして狡猾さを最大限発揮し、アン女王とサラに取り入っていく。
結果として宮廷の環境はどんどん悪化していき、あわや一触即発、というお話である。

筋書きは単純ではあるのだが、監督の演出と役者の演技が、そのリアルさを極限まで高めている。
女同士の愛憎劇は圧倒的なリアリティを持って観客に襲いかかり、
冷や汗がにじむような緊張感が、映画全編にわたって持続する。

それでいて、筋書き自体はストレートなもの。単純明快な話だからこそ、
キャラクターが抱える感情が強く描き出され、先ほどのリアリティを持って訴えかけてくるのである。
主演女優であるオリヴィア・コールマン、レイチェル・ワイズ、エマ・ストーンの演技は賞賛に値する。

映画としての出来もさることながら、エンターテインメントとして鑑賞することも可能なのが本作のすごいところ。
昼ドラさながらの”女同士”の愛憎劇を楽しみたい方は是非。そうでなくても、質の高い作品を求めるなら、行って損はない。

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